« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »

2009年6月

ストーンズ・オン・TV

Ontv_2

ロックの歴史や時代背景を見せながら、
ストーンズが誕生したいきさつや出来事を
70年代初めまでを追ったもの。

このDVDは全編モノクロで、30分程度しかないのに
けっこうお高いので、あまりおすすめできない。
特筆すべきは、Charie Is My Darlin'という
ストーンズ初のドキュメンタリー映画から
貴重なインタビュー映像や、
ファンにもみくちゃにされるストーンズなどが、
ちょっとだけ見られるところ。

Charie Is My Darlin'は、
65年のアイリッシュツアーに密着したもので、
いくつも有名な映像がつまっている。
例えば、ブライアンが酔っぱらって、
「俺は今のストーンズの音楽には満足していない」
と言っているシーンなど。
必死に日本語字幕つきを探したが探せなかった。
私にとっては幻の、そしてあこがれの映画。
youtubeに細切れであがっていたけど、
字幕がないのでやはりわからない。
日本版を切に願う!

このDVDでわかるのは、ストーンズが
いかに大人に嫌われていたかということだろう。
今の感覚だと全然長いとは思えないのだけど、
当時のイギリスでは、ストーンズは
長髪で汚らしいと思われていたようだ。

髪にまつわるストーンズの有名なシーンが2つ見れる。
「その髪はカツラですか?」と聞かれる記者会見。(USツアーの時)
それに対してワイマンが茶目っ気をだして、
髪をカツラのように上下させてみせる。
ちょっと微笑ましい。
また、初のUSツアーで出演した番組では、
ディーン・マーティンによる露骨なおちょくり攻撃にあう。
「最近のバンドは長髪だと思われているが
 生え際が低くて眉毛が高いだけさ。」
これにはメンバー全員、怒り狂ったらしい。

ミックの、活きのいいまぐろみたいに
ピチピチしたパフォーマンスが見れる、
Tami ShowのAround and Aroundはもう絶品!
ジャンプあり、痙攣ありの失神もの!1:20〜↓

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ワン・プラス・ワン/悪魔を憐れむ歌

Godard
68年撮影。
ゴダールの作品は決して嫌いじゃないけど、
これは映画としては失敗作だろう。
「政治」と「音楽」という、
全く違うものを融合させたかったようだが…。

しかし、ストーンズファンにとっては超ラッキーだ。
当時はゴダールぐらいしか使わない斬新な手法、
「長まわし」を使って撮影されているからだ。
娯楽作品を撮りたい監督がカットしてしまうようなシーンも、
芸術作品を撮りたいゴダールは、全て残してくれているのだ。
「悪魔を憐れむ歌」のレコーディングの空気感を
その場にいるような錯覚に陥るほど、たっぷり味わえる。
逆に、ファンでなければ楽しめないかもしれない。

当時のストーンズの曲作りがよくわかる。
いろいろとわかったことを箇条書きしてみよう。

・主導権が完全にミック&キースになっていること。
 ブライアンにカッティングパターンを指示するのはミックだ。
 ギタープレイヤーではないミックが、
 ブライアンに指示しているのを見るのは驚きだった。
(ミックがギターをライブで弾くのは70年代になってから)

・この曲に初期段階で貢献したのは、
 ニッキー・ホプキンスのオルガンだったということ。
 まだ、ぐずぐずな段階の曲が、かろうじて、
 曲らしく聞こえるように保っているのは、
 ゴスペル風のオルガンの旋律なのだ。
 曲が出来あがるにつれ、オルガンはピアノに変わる。

・キースが、ギターから途中ベースに持ちかえた。
 ベースの旋律はキースが作っている。
 ベースを奪われたワイマンは、
 カバサ(?)やマラカスなどのパーカッションを担当する。

・この曲のキモはリズムだ。
 ストーンズには珍しい、ラテンのリズム。
 初めての試みにチャーリーも戸惑っていたのだろう。
 ミックが難癖をつける。
 「もっとご機嫌なフィルを頼むよ、チャーリー!」と。
 でも、そんなチャ−リーのドラムも、
 黒人パーカッションがはいると、俄然、生き生きしだす。
 適当だったミックのボーカルもノリノリになってくる。
 こういう瞬間が、音楽って楽しいんだよね。
 キター!みたいな瞬間が。
 ストーンズのキター!が見れるってのは貴重ですよ。

・この映画でよく言われるのが、ブライアンの衰退ぶり。
 ちょうどこの頃はドラッグに溺れ、
 スタジオにもこない状態だったと言われている。
 ブライアンが来なくてもレコーディングを開始するとかの、
 仲間はずれ的な行為があったといわれるのもこの頃。
 でも、私には、十分、相手にされているように見えた。
 特にキースは、ブライアンの一挙一動に敏感で、
 タバコが欲しそうな様子をすぐに察している。
 でも悲しいことに、ブライアンが
 どんなに一生懸命カッテイングをしていても、
 ボリュームがおそらく意図的に押さえられてしまい、
 音程のないパーカッション程度の役割しか果たしていない。
 キースのギターソロ(この曲は珍しくキースがソロ)は
 バカでかいボリュームで出ているのに。
 この頃のブライアンは、音楽的には、
 あてにされていなかったということだろう。

・おもしろいことに、コーラスに、キース、チャーリー、ワイマン、
 ブライアン、にプラスして、ミックの彼女マリアンヌと、
 キースの彼女であり、ブライアンの元カノでもある
 アニタが参加しているのだ。
 このメンツで歌ってるなんて、スゴイ絵かも!
 私にとってはゴールデンメンバー。
 この件について、後にワイマンは、
 「俺は女を職場に連れてきたりしたことないのに、
 ミックやキースはいつも公私混同していた。」
 とぼやいている。

ともかく、自然なストーンズが見れるのは貴重。
プロデューサーは商業的価値を高めるために、
ゴダールに無断で再編集を施し、
タイトルも「悪魔を憐れむ歌」に変更する。
プレミア上映時に初めてそれを知ったゴダールは
その場でプロデューサーに殴りかかったらしい。
でも私は、この映画を作ったあなたに、とても感謝していますよ。

ブライアンにギター指導するミック(冒頭〜0:50ぐらいまで)↓

| | コメント (0) | トラックバック (0)

GATHER NO MOSS

Gathernomoss

これが"GATHER MOSS"だったら、
64年の某有名TV映像につけられていたタイトル。
でもこれは"NO MOSS”だ。
どういう意味があるのやら…。
期待していたGATHER MOSSの映像ははいってないし。
(GATHER MOSSはブライアンが身障者の
 マネをして歩くシーンがあるのです!)

でも、デビューして3〜4年間のTV出演映像が満載で、
初期ストーンズ好きには大プッシュしたいDVD。
ミックの華麗な足さばきが堪能できるし、
何といっても、メンバー全員、音楽の喜びにあふれている。
やっぱ、デビューしたてのアーティストが魅力的なのは、コレでしょ!
純粋に「音楽やってるだけで楽しい」という気持ちが出てるとこでしょ!

彼らの初めてのレギュラーステージは、
ロンドンの小さくて粗末なクラブだった。
ステージもビニールで覆ってあって、
そこから落ちるしずくが、
電気機器と接触して感電しないか、
心配なぐらい粗末なものだった。

この頃のミックのパフォーマンスは
そんな小さなステージ用に、コンパクトにすむよう、
計算しつくされている。
ほとんど位置を移動せずに、手と足のフリだけで
たくさん動いているように魅せることができる。
特に足は、痙攣でもおこしているかのように動く。

この技は、TVに出るほど有名になってからも役に立っている。
当時のTV番組では、客は演奏者にさわれる位置で
観ることが許されていたようで、時に、
興奮した客がステージにあがるのなんて当たり前だった。
一方でステージは、立っているのがやっとのスペース。
だから、コンパクト設計のミックのパフォーマンスは
とても効果的だったというわけ。

しかも、この激しいコンパクトパフォーマンスを、
時には、クチパク&あてぶりでやってるのだ。
TVから聞こえてくる音はレコードの音で、
ミュージシャンは口や手を動かしているだけ、という状態。
楽器の音をうまく拾えないという
技術的な問題もあったのかもしれないが、
客の歓声がひどすぎて、会場の演奏は聞こえないから、
という理由もあったようだ。

ミックはクチパクでもあまり変化はないが、
他のメンバーは、あてぶりだと、よく仏頂面をしている。
そりゃ、つまらないだろうな。
俺たち何やってんだ、って気分にもなるだろうし。

この頃は、ブライアンがまだストーンズのリーダーとして
機能していた時代で、インタビューアーが
ブライアンのコメントもきちんととりにいくところが興味深い。
ブライアンがギターだけでなく、シタール、オルガン、
木琴などを演奏する姿もみられる。
ブライアンってやっぱり多才だったんだなぁ、とあらためて思った。

↓こちらがクチパク&あてぶりのOFF THE HOOK
 ミック以外テンションが低いのに注目。
 最後はブライアンのインタビューもあり!英語だけど。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ミック・ジャガーは60歳で何を歌ったか

Mick60old

この本は立ち読みで十分だったなー。
ミック・ジャガーについては最初の章のみ。
他の老舗アーティストについても書かれているのだが、
知らない人ばかりで、全然頭にはいってこない。
結局、知ってる人だけ拾って飛ばし読みしてしまった。

ミックが「何を歌ったか」はよくわからなかったけど、
ミックが「立場が人をつくる」の典型、というのは
そうそう!そんな感じ!とうなずいてしまった。

ミックをずっと追ってみたけど、
彼が、常に流行や環境に左右されてきたと感じるからだ。
自発的ではなくて、立場が決まってからその気になる、というか…。

麻薬をやることだって当時の風潮だし、
60年代後半、男がメイクをするのもフリルの服を着るのも流行、
70年代の気怠い話し方は当時のミュージシャン風、
ゲイがイケてるとされた時代にはデビット・ボウイと噂になり、
麻薬をやめた時期だって、エアロビやダンスが流行って、
健康志向が台頭してきた頃に違いない。

いつも最先端を生きたいんだ!というのが、
ミックに唯一ある信念のような気がする。
そして、基本はミーハーなんだけど、役割に徹するのがうまいから、
単なるミーハーじゃなくて、ホンモノになってしまうというわけ。

曲を作りはじめたのだって、そういう立場になってからだ。
アンドリュー(初期のマネージャー)に、
カバーは金にならないからオリジナル曲を作れ、と言われて、
キースと2人、キッチンに閉じ込められ、しぶしぶ作ったのが始まりだし。

この書には、今のミック・ジャガーは
「世界最高のロックンロールバンドのヴォーカリスト」を
演じる使命を果たしているところだ、と書いてある。
ただ、そうやって気を吐いているのはミックだけで、
彼がステージから消えると、
ストーンズは突然老化したように見える、と。

それもそうなのかなぁ。
1人1人の写真を見ると、皺の多さにビックリするもんね。
全員そろってる絵面はまだまだ若々しく見えるけど。
それって、ミックのせいだったのか…。
ミックも1人だけ見ると相当シワシワしてると思うけどね…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ブリッジズ・トゥ・バビロン・ツアー

Bridgesto

98年ツアーDVD。
無難にまとまっている感じ。

ライブ演出が大掛かりになってくると
なんだかなぁ…という部分がちらほらある。
例えば、このツアーでは、Webで、
ストーンズの曲の人気ランキングをとったらしく、
Web画面を巨大モニターにうつして、
この中からどれをやろうかなぁ、
よしこれをやるぞーみたいな演出があって、
紅白歌合戦でも観ている気分になってしまった。。
ストーンズのライブに、んなもんいらん!

大掛かり、と言えば、メインステージから
巨大な橋が伸びる演出がある。
メンバーは、観客の頭上を悠々と歩いて、
会場中央にあるサブステージへと移動するのだ。
そういえばミックは橋マニアで、
いろんな橋を見に行くのが好きだと言ってたっけ。
橋を渡りたくてしょうがない人なのだろう。

このDVDにはわたし的には見所はそんなになかったけど、
唯一、おっ!と思ったのは、ローリング・ストーンズが、
ボブ・ディランの名曲、Like A Rolling Stoneを歌ってること。
これはちょっとおいしいね。

ディランはイギリスを気に入って、
60年代には何度か渡英している。
ディランが泊まるホテルには、毎夜、
いろんなアーティストが訪れたという。
ちなみに、ビートルズにドラッグを教えたのはディランだ。
ミック、ブライアン、キースも、
頻繁にディランに会っていたようなので、
何か影響はあったかもしれない。

ストーンズとディランに関連してこんな話もある。
ディランのBallad of a Thin Man(やせっぽちのバラッド)で
「あんたにはわからないのさ、ミスタージョーンズ」
という歌詞が何度もでてくるのだが、
これをドラッグで衰弱していたブライアン・ジョーンズが
自分に向けた歌だと勘違いし、何かを警告されているのでは?と
びくびくしていたとか。

85年のライブエイドでは、
ディランとキース&ロンはフォークギター3本で
ディランの「風に吹かれて」を演奏した。
途中でディランのギターの弦が切れたり、
モニタートラブルがあったりで、それはそれはひどい演奏だった。

でも40年以上に渡り、何かと友好関係を結んできた
ディランとストーンズ。
…かと思うと、つい最近のディランの発言。
ビル・ワイマンがいないストーンズはただのファンクバンドだ。
(↑クリックで記事へ)
だそうでして…。

なんと、こちら。
ボブ・ディランとストーンズが一緒に歌うLike a Rolling Stoneの映像↓
5:30ぐらいが可笑しい。息が合わなくて笑っちゃってる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ROLLING STONES LIVE AT THE MAX

Atthemax

インポートもの。
89年のスティール・ホイールズツアーのDVD。
このDVDは最近のツアーDVDに比べたら短いし、
日本語版もないみたいだけど、
おいしいところが凝縮された隠れた名作だと思う。

80年代、ずっと仲違いをしていたミック&キースが
仲直りしてから初めて行ったツアー。
このツアーの時、初めて日本にストーンズが来た。
あぁー、観たかったなぁ!
私、ストーンズが初来日した時って何してたろう…。
テクノに夢中だった?
ストーンズなんてテクノの対局だし、憎むべき存在だったかも。
本当に全く全然まるっきり興味なかったもんね!

このDVDで私がうれしいのは、まず、
ストーンズのファンシーサイド(?)の代表曲、
Ruby Tuesdayが収録されていること!
As Tears Go Byと並び、私の大好きなかわいい曲だ。
この曲を元にしたアニメが、
ミック監修のもと、制作されているとかいないとか…。
本当だとしたらうれしいな。

そしてもうひとつは、私の一番好きなアルバム、
THIR SATANIC MAJESTIES REQUESTから、
ライブでやるのは不可能と言われていた怪曲、
2,000 LIGHT YEARS FROM HOMEが選曲されていること。
後にも先にもこの曲が演奏されたのは、このツアーだけのようだ。
会場はこの曲の怪しげな雰囲気には、ひき気味だったらしい。
この曲は、70年代にライブがはじまる前に会場に流れていて、
ストーンズが登場する前の、
いかがわしいムードを盛り上げるのに一役かっていた。
そういえば、キースが2,000 LIGHT YEARS〜を、
気に入っているといっていたなぁ。
キースの希望だろうか。
ともかく、私は大喜び。

↓こちらはDVD版じゃないけど、同じツアー中のもの。
 観客が引いたってのはイントロのパフォーマンスのせいじゃないの?
 これは確かに…引くね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

フォー・フリックス

Fourflicks

2002年〜03年のツアーDVD。4枚組。
そういえば、2000年頭ってDVDが普及しだした頃だった…。
DVDでいろいろ出来るってことがわかって、
いろいろやりましたが、少々くどくなりました、という印象。

ライブ映像の途中で、時々、アイコンが出てくる。
それをクリックすると、その時の舞台裏の様子がみれる、とか、
自分の好きなアングルにカメラを切り替えることができる、とか。
その曲についてのコメンタリーがみれる、とか。
この小技的なものが、私にはくどかった。
DVD4枚全てがライブ映像で、観た感じも変わり映えしないしね。
日本語字幕がこれまたひどい。中学生が訳したみたい。
MCに字幕がついてないのも困る。

そんなフォー・フリックスですが、見所はあります。
それは、普段あまりやらない曲がはいっているところ。

老舗ミュージシャン達の悩み。
「昔の有名曲をやらないと会場が盛り上がらない。」
ストーンズも然り。
メンバーもよく言っているが、
昔の曲はとっくの昔に演奏し飽きていて、
昔の曲ばかりやってるとマシ−ンになった気分だ、と。
その回避法として、ツアーごとにアレンジを変えているそうだ。
一方で、新曲を演奏している時は、とても気分がいいらしい。
ライブのセットリストを考える時には、
自分達のモチベーションと、
観客へのサービスとの間で、揺れ動くのだろう。

私も、ただのわがままなファンなので、
会場で聞くなら、知らない曲よりも、
よく知ったヒット曲のほうがうれしい。
でも、ヒットはしていないんだけど、
個人的に好きな曲が聞けた時の喜びは、
これまたひとしおだろう。
特にディスク4のパリ編では、
普段あまり演奏されない曲がたくさんあるので、
それぞれが、個人的な隠れ名曲を見いだせるのではないだろうか。

わたくし的には、晩年あまり演奏しなくなった
ミッドナイト・ランブラー2002年版が観れたのが、
ちょいとうれしかったり…。
チャーリーが楽しそうにドラムを叩いているし、
キースも特にノリノリでかっこいいし。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

ストーン・アローン/ビル・ワイマン

Bill_wyman_stone_alone

ストーン・アローン/ローリング・ストーンズの真実

ストーンズのベーシスト、ビル・ワイマン。
サイレントストーンといわれ、最も印象が薄い。
ステージでは微動だにせずベースを弾き、
プレイもそれほど目立ってうまいわけでもなく、
(ベースを縦に持つ奇妙なスタイルは目立つが)
なぜこの人は、ストーンズにずっといられたの?
とまで思ってしまうほど。

しかし、ワイマン自身が書いたこの自伝本で、
彼の印象はかなり強烈になった。
「ワイマーン(失笑)」
と何度つっこみながら読んだことか!
(ワイマンだけは名字で呼びたい!)
ワイマンが人として好きになった。
彼は総合すると、憎めない、いいやつだ。

彼がストーンズに加入したきっかけは、
当時にしては珍しい巨大アンプを持っていたから、
という理由だけ。
音楽のルーツもミック&キースとは違うし、
麻薬もやらず真面目で、ある意味浮いた存在である。
それなのに、彼が長い間ストーンズに居られたのは、
ひょうひょうとしていることと、
空気のような存在感、のせいだったのだろう。
多分、不満があっても引きずらないさっぱりした人なのだ。

一見、害がなくて不満も持ってないような人が、
実は一番「たまって」いたことがよくわかるこの本。
ミックとキースにばかりスポットがあたるストーンズである。
脇役の不満、というのは当然あるが、
「でも、一番もてるのはおれさ。」という自負があったから、
ストーンズの一員であり続けられたたのだろう。

上下巻にわたる長い長い自伝本だが、
要約すると彼の言いたいことはこの3つだ。

・一番女にもてたのはおれだ!
・金があるあるって言われてるけど無かった、おれは!
・ブライアンのことを一番理解していたのはおれだ!

これらが、偏執狂的なぐらい緻密に記録されている。
その日の曜日、天気、気温までも。
特に、金に関する記録や契約書などのやりとりは
こと細かに書かれている。
金額も下一桁まで!
異常なほどの記録魔だったらしい。
でもやはり一番目につくのは、彼の女性遍歴だ。

「ストーン・アローン」より
ーある晩ホテルの部屋で、グループを結成してから
1965年までの2年間にモノにした女の数を数えてみたら、
おれは278人、ブライアンは130人、ミックはおよそ30人、
キースが6人で、チャーリーはなんとゼロだった。
〜中略〜
ブライアンとおれは、ひとりの女に忠誠を誓うなんて真っ平だった。

ワイマンとブライアンはいつもつるんで
グルーピーをナンパしていたらしい。
結局2千人以上の女と寝たらしい、との噂。
そんなワイマンの数々の武勇伝は、失笑するほどおもしろい。
この本って…自慢?そう、きっと自慢だ。

ワイマンは50代で13歳の子と恋愛して結婚して離婚。
もう、あっぱれとしかいいようがない。
趣味は金属探知。
どう?この本、読んでみたくならない?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ハイド・パーク・コンサート

Hyde_park

1969年7月5日。
ロンドン、ハイド・パーク。
この日の数日前に亡くなったブライアン・ジョーンズの
追悼コンサートの模様をおさめた映画。

このコンサートは、さんざん言われている。
音響が悪い、演奏がひどい、茶番だ、等々。

確かに、この野外ライブは、
ストーンズにとっては14ヶ月ぶりのライブであり、
ブライアン・ジョーンズの後継ギタリスト、
ミック・テイラーにとって、初めてのステージ。
そして、ミック・ジャガーは花粉症による咽頭炎で、
ライブ前日まで、中止の噂がたっていたほどの鼻声。
ましてや、このライブは、ストーンズが、
追悼の気持ちをどう表現するのか、
単なるライブ以上の出来を求められていた。

ライブ直前の楽屋で、メンバーが外の様子に耳をすませつつ、
緊張したり高揚したりしている様子が撮影されている。
ミック・ジャガーはかなり神経質に、
スタッフと段取りを確認している。

修道僧風の真っ白なチュニックを着たミックは、
ステージに登場すると必要以上にしつこく客を静まらせ、
シェリーの詩を朗読しはじめる。
内容を簡単にいうと、
「彼は死んだのではない。これは新しい目覚めなのだ。」

朗読後、段ボールにはいった3500匹の蝶が放たれる。
花吹雪のようにステージを舞う大量の蝶。
緑の服を着たチャーリーに何匹もとまってしまい、
迷惑そうな渋面でドラムを叩くチャーリー。

確かに音響は悪い。
そして、なぜか全ての曲のテンポが遅いのがこのライブの特徴だ。
わたし的にはこれがメンバーの悲しみを表しているようで、
かえって感動的だと思っている。

ブライアンを死の直前にクビにしていたミック&キースは、
彼の死を好都合だと思っているのではないか、と、
アンチ本に書かれている。
このライブが「茶番」と言われている理由だ。
しかし、べースのビル・ワイマンは告白している。

ビルの自伝本「ストーン・アローン」は、
大体がお金と女と自分の話。
ミックやキースに対する尊敬も恨みつらみも
余すことなく正直に書かれすぎている本である。

本の最後は感動的にまとまっていて、
この日のハイド・パークの様子でしめくくられる。
これがブライアンの死をめぐるメンバーの
動揺や悲しみがよく伝わってくる内容となっているのだ。
このライブが茶番などではない、という何よりの証である。

ーストーン・アローンより
……サウンドは良くなかった。調子が悪かった。
ミックは泣きそうな声でいう。
「テンポを上げろよ!テンポを合わせるんだ!」
おれたちはベストの状態ではなかった。おそらく
その場の重圧にまいっていたにちがいなかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー

Letsspendthenight

81年のライブ映画。

ミック・ジャガーのパフォーマンスは、
初期と今では全く違う。

結成当初のパフォーマンスは、
何かがこみ上げてきて爆発してしまったかのような
動物的な動きをしていた。
だから、その頃の動きを見た人は、
ちょっとこの人イッちゃってない?と表現したりする。
でも、その型にはまってない原始的な衝動は、
音楽の喜びをあらわしているようで、私は好きだ。
その後のミックの動きは、けだるいセクシーさが加わり、
演劇的要素も取り入れはじめる。
この時代も私にはたまらない。

そして80年代以降、ミックは突然ヘルシーでスポーティになる。
これはおそらく、ライブ会場が巨大化したせいだ。
ステージを隅から隅まで走りまわり、
真ん中でじっとしていることがない。
ダンサーに振り付けを習っているようだし、
パフォーマンスには原始的な衝動はなくなり、
観客をあおるような動きが多くなる。

「音楽やれて幸せ!!サイコー!」

「俺のセクシーさを、効果的に魅せていかないとな。」

「みんな一緒にノッてくれ!頼む!」

…と、ミックのパフォーマンスは、
40年を経て「自分本位型」から「観客重視型」に変わったのだ。
個人的にはロックンローラーは、自分本位でいいと思うのだけど、
彼のプライドと、ビジネスマン精神が、
今のヘルシーミックを作りあげたのだろう。

もし、ミックの中身がエイリアンに支配されていて、
少しずつ今のミックに変態してきたのだとしたら、
この81年のライブあたりが変わり目だろう。
ヘルシー星から来たエイリアンは、
この時点で、ミックの体を80%ほどを
のっとることに成功したのだ!
そういう意味で、このDVDはとても価値がある。
このライブ後のストーンズは、仲違いがあったりして、
ソロ活動にはいったりで、しばらくみられないからだ。

ストーンズのライブ会場は今も巨大化し続けている。
いつか、小さな会場で、けだるくセクシーに
自分本位に歌うミックを観てみたい。
せめてもう少し老衰してくれれば…。
ミック・ジャガー65歳、元気ありすぎ!

来月、デジタルリマスター版が出るそうです。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

The Stones 65-67/Gered Mankowitz

Thestones

ジャレッド・マンコヴィッツは、
ストーンズ初期のオフィシャルカメラマン。

写真はモノクロ。
時折、説明文が書いてあるが英語なので当方わからず。

ストーンズには、常に専属カメラマンがいて、
ツアーに同行するだけでなく、私生活も共にしていたりと、
ミュージシャンとかなり密接な関係だったらしい。

不良のイメージで売っていたストーンズの
本番前の楽屋の様子や、自分の家でくつろいでいる様子を、
惜しげもなく撮影させているってことは、
それだけマンコヴィッツがメンバーに馴染んでいたのだろう。
この写真はもしかして当時は公開されなかったのかも!?
こんなスト−ンズを見たら、不良って感じしないもの。

マンコヴィッツがストーンズのカメラマンの中でも
とりわけ有名なのは、ブライアン・ジョーンズを
撮影する機会に恵まれていたからだろう。
ブライアンのいい写真もたくさんある。

マンコヴィッツは、
[THEIR SATANIC MAJESTIES' REQUEST]の直前、
突然解雇される。

なぜならミックが、ビートルズのサイケデリックアルバム
[Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band]の
ジャケを撮影したカメラマン、
マイケル・クーパーをいきなり連れてきたから。

なんでもマンコヴィッツの目の前で
「今度のアルバム(THEIR SATANIC〜)のジャケットを
 マイケルに頼もうと思うんだ。」
とマイケルをアンドリュー(マネージャー)に紹介したらしい。
これでマンコヴィッツはストーンズとはさよなら。
公私を共にしたカメラマンに
直接クビを言い渡すのって、気まずいヨネ…。

こうしてジャケットも音楽もビートルズの真似だ、
とさんざん馬鹿にされ、ストーンズ自身も、
このアルバムは失敗だった、と言ってしまう
[THEIR SATANIC MAJESTIES' REQUEST]が出来上がる。
おかしいなぁ。
私、一番好きなのになぁ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

According to THE ROLLING STONES

Acoordingto

アコーディング・トゥ・ザ・ローリング・ストーンズ

これほど充実しているストーンズのインタビュー本は
今のところ、他に読んだことがない。
メンバーへのインタビューで構成されていて、
長時間読むと腕が痛くなるほどの大型本。
読み応えたっぷり。写真もたっぷり。
内容は、60年代から2000年代に渡る。

本人達が語るだけあって、
自分たちの音楽のルーツについて特に多く語られているし、
リスペクトするアーティストへの思いも綴られている。
曲、1曲1曲に対するそれぞれの考え方もよくわかる。

この本で私がなにより一番感じたことは、
キースの言葉の重み、でしょうかね。
キースは何を言っても名言になる、ということ。
含蓄があるし、詩的だし、例え方がうまい。

メンバーの言った重要な発言は、
章のサブタイトルになったり、
太字で各所にちりばめられているのだけど、
キースの言葉は、他メンバーのものとは一線を画している。

本当に何気ない例えでも、絶妙に心に響くんだよなぁ。
「ビートルズに初めて会ったのはステーションホテルさ。
 黒のレザーのオーバーコートを着たクールな奴らだったよ。
 あのオーバーコートにはみんな嫉妬したな。」
ここで、オーバーコートへの嫉妬を記憶しているところが
他のメンバーとは違うってこと。

ミックの言葉は、白にもとれるし黒にもとれる玉虫色で、
すべてがとても戦略的に感じられる。
「ミックはビジネスマン」とよく言われているけど、
確かにそうだと確信した。
チャーリーの言葉は、素直で率直だ。
でも考え抜かれているし、思慮深さを感じる。
ロニーの言葉も、とても素直で率直なんだけど、
チャーリーとは違って、おちゃめで子供っぽい。

インタビューは、他人が書いたどんな伝記本よりも
人となりをあらわすもんだね。
まぁ、当たり前か。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »